能登の未来

FUTURE

0からの始まり

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投稿者

ジビエふじこ

穴水町大町にある農家民宿「富士SUN(サン)」を開業してから2か月。今回の震災で木造2階建ての民宿は倒壊し、現在は能美市に避難。失意の中にも能登の明るい未来をお話し下さいました。


穴水町に移住したキッカケ

度々趣味の釣りで訪ねていた穴水町。
「波が立たない穏やかな海を見ているだけでいい。カヤックやSUPなどを楽しむ人達の風景も心地よくて、言葉にならない奥能登ならではの空気感も好き。」と、他の土地では感じない特別なシンパシーを感じたそう。
物事を厳しくも優しくも包み隠さずに話してくれる、能登の人柄にも惚れ込んだとか。
移住する前は、白山市で狩猟・解体・加工までを行う狩女の会を運営。
害獣駆除された多くの鹿や猪が山に捨てられている実態に、狩女の会ではジビエの肉を決して無駄にはせず、命をつなげる取り組みを行います。
一方、奥能登ではこれまでいなかった猪が急増し、行政から農作物の被害に悩まされているという相談を受ける。自身の経験を活かせるのではないかと2018年に拠点を穴水に移すも、移住当初はジビエに関する話に行政は耳を傾けてもくれず、足踏みする日々だったそうです。
それでも屈することなく、わな猟をメインに害獣駆除に携わります。
能登各地で命の有難みを伝える講演や食体験を通して、ジビエ利用推進の活動をされていました。
狩女の広場で開催したイベントでは実際にジビエを解体し、調理経験を活かして料理もふるまったそう。
そこでは様々なフードトラックが出店しており、友人だけでも集まってくれたらと思っていたが、来場者のほとんどが地元民という賑わいを見せた。
「0からスタートした場所だから、ようやく地元の方に認めてもらえたかな。本当に嬉しかったし、今後もみんなにジビエを味わって欲しい。」
周りの応援もあり、会社を法人化したタイミングで300坪の更地を購入。飲食店、シェアスペースなどを併設した施設「富士SUN(サン)」の開業に至った。
2023年11月にオープンし、穴水町が賑わいをみせる矢先の出来事だった。


2024年1月1日、能登半島地震が発生

「涙も出ない、、夢なのかな、、これは現実なのかな?」
全壊した「富士SUN(サン)」の写真を見ても、これが現実に起きている事なのか、しばらくは区別が出来ず混乱したと振り返ります。

今は、被災した体験のおかげで現場に何が必要で、優先するべきなのかがよく分かるようになり、心の静けさを取り戻したそう。
「この状況で能登に残っている人も、能登を離れた人も、支援者もきっとみんな辛いと思う。移住して来た人も、能登で生まれ育った人も、同じ場所に戻りたい。と心では思っていると思います。本当は、自分と子どもが生きるために出来ることを考えるだけで精一杯だけど、能登がまた元気になる為に、様々な状況で暮らす人の声を聞き続けたい。」


どんな形であれ、穴水に戻りたい

自身も被災し現地の声も聞く中で、工事関係者の場所を確保することが優先するべきだと考え、穴水を拠点に奥能登の復興支援活動を行うプロジェクトを始動。
地震で全壊した農家民宿「富士SUN(サン)」を更地にして、地震が来ても壊れず移動可能なトレーラーハウスやユニットハウス、キッチンカー、キャンピングカーを設置する予定だそう。
「復旧作業をする方々の休まる場所を作りたい。」と、復興復旧に向けて着実に前に進んでいる様子。


キャンピングカーやトレーラー生活が日常的になるかも!?

「珠洲に移住した若い子たちをみると、発想力に驚かされる。近い将来は何か面白いものをもってきた人をサポートする側に回りたい。」と次世代へのフォローも描いていました。
「いずれかは地元の人が居なくなってもキャンピングカーやトレーラー生活などが当たり前になるかもしれないし、今後も土地が隆起して新しい都市が出来たりして(笑)」
と笑顔で語ります。エネルギッシュ溢れるジビエふじこさんの声は、きっとみんなが抱える行き場のない不安を包み込む温かさと能登に対する真摯な愛を感じました。
みんなで助け合いながら、新しい能登のカタチに向けてまだ進み始めたばかり

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