僕は１００年後も能登が震災前と同じようにあって欲しいと思います。
　能登の中でも特に田舎である僕の地元「珠洲市」では震災前でさえも衰退の一途を辿るばかりでした。そして今回の事態で能登はもうダメだという声や、珠洲市から他の地域に移住したという人の話を聞くようになりました。実際、僕の家族ももう珠洲では住めないと判断し金沢へ移住しようとしているところです。
　これらを聞いていくうちに、今まで以上に珠洲は衰退していくのだろうなぁと感慨深い気持ちになりました。今まで過ごしてきた記憶を思い出すと、なんだか胸が空っぽになったような感じです。実際に家の周りなど見た時も、最近までの記憶とはかけ離れた様子で、胸がグッとなったのを覚えています。
　そんな思い出の場所を、元通りにするには途方もない手間と暇がかかることでしょう。ましてや、そこから発展させるなどとは、現実的に不可能に近いと思います。ただ、僕の幼少期過ごしたあの思い出の景色が、建物が、人々の生活の様子が、また元の姿に戻って、今まで以上に住み良くなって欲しいと、今、心から思います。
　古き良き伝統を重んじ、自然と調和しながら生きる僕らのふるさとが、災害に負けず１００年後も生きていることを心から祈っています。そして、僕も、今はできないけれど、いつか役に立ち、ふるさとに恩返ししたいです。