能登の未来

FUTURE

第一次・第二次・第三次産業の協奏による災害復興から地域活性化までを実現可能なロールモデルの創出

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投稿者

中村哲也

 100年後の能登半島は第一次・第二次・第三次産業の協奏により、災害復興から地域活性化までを実現したロールモデルとしての役割を担う場所であってほしいと願っている。この願いは、地震によって故郷の景色を二度と見られなくなったという経験から生まれた。
 地震発生直後、私はすぐさまテレビをつけて地震の被害状況を確認した。すると、そこには想像を遥かに超える被害の光景が報道されていた。私はその惨状を受け入れることができず、何度も誤報ではないかと疑った。さらに、輪島の朝市では大規模な火災が発生しているとの情報も入り、何もできない自分に悔しさを感じた。そして、地震によって故郷の景色を二度と見られなくなったという現実に直面し、私は心に深い喪失感が広がっていくのを感じた。それ以降、私は能登を必ず復興させて故郷の風景を取り戻したいと強く願うようになった。
 能登を災害から復興させるためには、かつての能登の景色を知る人たちが必要不可欠である。そのためには、彼らを震災前と同じ生活を送れるような環境を整えることが急務となる。この目標を達成するためには、第一次産業である農業・林業・漁業などが人々の生活基盤を支え、第二次産業の鉱業・建築業・製造業などが生活環境の再建を担うといった相互協力を促進することが有効である。このような、異なる産業分野同士の相互協力は災害復興のスピードを加速させることに繋がる。
 さらに、異なる産業同士の相互協力を災害復興のみならず地域活性化へと繋げるためには、サービス業・小売業・飲食業などを担う第三次産業の協力がキーポイントになる。なぜなら、第三次産業は能登の里山里海の魅力を外部へと発信できる唯一の役割を果たす産業であるからだ。ここで、第一次産業と第二次産業により育まれてきた能登の里山里海は世界有数の観光資源である。この事実は、能登が世界農業遺産に認定された経験や豊富な魚介類の水揚げが可能な好漁場を複数有していることからも裏付けられている。このような、観光資源の魅力を外部へ発信するためには、第一次・第二次産業の相互協力のみでは不十分であり、第一次・第二次・第三次産業の協奏でのみ成り立つ。
 以上より、第一次・第二次・第三次産業の協奏により、能登は災害復興のみならず地域活性化も可能になると私は確信している。そして、能登を災害復興から地域活性化までを実現可能にしたロールモデルとしての役割を果たす場所にしていく。これにより、能登半島地震を単なる悲劇ではなく、教訓として受け継ぐことができるようになる。また、同様の被害が発生した場合においても、今回の能登半島地震から得た教訓を活かすことで災害復興から地域活性化までを可能にする。そして、災害復興後には活気ある故郷の景色を再び目にすることができるようになると考えられる。

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