能登の未来

FUTURE

能登地域の教育に関して

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投稿者

加賀谷隆之介

それは特別でありながらも、冬休みの或る1日だった。「その日」以降、未来を形作る「学び舎」は大きく様相を変えた。壁や床のタイル等にヒビが目立つ校舎で、見ず知らずの方との避難所生活を余儀なくされ、心身共に疲弊された方は決して少なくないと推察する。そして悲しいことに、年度が替わり初夏を感じさせる暑さが続く中も、一部の校舎は「避難所」であり続けているのが現実である。 元来、能登地域の過疎化、並びに少子化は著しい。ここ20年で、高校だけでも「七尾商業」「七尾工業」「七尾農業」「珠洲実業」「中島」「輪島実業」「能都北辰」「能登青翔」「高浜」「富来」といった校名が失われていった。石川県における教育の金沢一極集中を改善する手立てがなければ、今後もこの流れは加速するだろう。しかし、能登地域の学生全員が金沢に行くことを望んでいるはずもなく、経済的側面から本人の意思を問わず能登地域で進学をすることとなるケースもあるだろう。要するに、たとえ生徒数が減ろうとも、能登地域の高校は一定の需要が存在し続ける。教育はこれからの地域・国の担い手を育てるという面で、決して疎かにしてはならない。今回の被災で暫くは進学希望者数に影響が及ぶと思われるが、今だからこそ、能登地域の教育拡充が必要と感じる。 また、先述した通り一部の学校は未だに「避難所」であり続けている現状がある。私の推測の域を出ないが、「避難者」と「生徒」の間には気のつかいあいが長期に渡って行われ、双方が若干の気まずさを感じたケースがあるのではなかろうか。無論、「学校」は地域社会において不可欠な役割を果たしていて、それ故に災害時には避難先の選択肢として上位に挙げられるのは納得ができる。しかし、「学校」の本分はやはり「教育を施し、その学生の『未来』を形づくる」ことではなかろうか。その役目を果たすためには、ある程度「公共の場」としての機能を切り離し、「教育機関」としての側面を強くすることが必要と思う。調べたところ、地下は揺れが地表の3分の1ほどに減衰するという。防災拠点や避難所といったものを地下に作ることは、地表でのスペース確保が難しい場合のみならず有効かもしれない。 ここまで述べてきたように、能登地域の教育環境を拡充していくことが中長期的に持続した「ミライづくり」には必要と思う。今後とも誇りある「能登」が存続していくために、各人が全身全霊をもって復興にあたることを切に願う。

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