能登の未来

FUTURE

奥能登で、災害をしなやかに乗り越える”現代集落”をつくりたい!

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現代集落

▶︎▶︎ はじめに

突然日常が奪われるということを初めて経験した。
奥能登の美しい里山里海に魅せられ、3年前に珠洲に移住し、「現代集落」というプロジェクトを行っている中での被災だった。
現代集落とは、100年後も豊かな営みとは何だ?を、有志で集まり、エネルギー、食、建築、ランドスケープ、文化、など、様々な視点から考察し、実験をする取り組みである。
URL/https://villagedx.com/
昨年末には、「さいはての奥能登、日本海の絶景を望む宿泊施設をつくる」クラウドファンディングを行い、そこに住む人、関係人口を増やそうとしていたところだった。
URL/https://camp-fire.jp/projects/view/706747?utm_campaign=cp_po_share_c_msg_mypage_projects_show
能登半島は、半島に100人から50人くらいの集落が点在し、一本の道路で集落ごとが繋がり、多くの人が半自給自足をしている豊かな場所だ。
しかし、高齢化率が高く、珠洲市に至っては高齢化率が50%を超えている地域でもある。いわば、限界集落、消滅可能性の高い地域だ。

そんな元々限界だった能登半島に、大地震が来た。
30年かけて緩やかに衰退していくところが、一瞬でその時間が短縮された。
場所によってはいまだに断水が続き、復旧のめどが立っていないところもある。
なので、多くの人が二次避難といって、能登を離れ、一時的に能登以外の地域に身を寄せており、多くの人が能登に帰れるようになるのをまっている。


▶︎▶︎ 現代集落のある珠洲市真浦町の現状と現代集落のビジョン

現代集落がある真浦地域は発災後孤立し、その後孤立は解消されてもいまだに上水が通っていない。
真浦地域は山と海に囲まれており、珠洲市役所につながるトンネルは山が大きく崩れ、年単位で復旧のめどが立っておらず、大きく遠回りしないといけない状況になった。また、反対側のトンネルも、土砂崩れの危険性が非常に高く、今年の梅雨や冬はまた孤立する可能性が非常に高い。
孤立が前提となる集落、そのような真浦地域には帰りたくても、なかなか帰られないのが現状である。

真浦集落が再び生活ができるようになるには、孤立しても生きていける備えと前提が必要になってくると考えている。そしてこれは真浦集落だけでなく、能登全体で起こりうる問題だと考えている。

そこで、我々現代集落がやろうと思っていたビジョンの実現を、30年かけてやろうと思っていたが、それを3年でやらないといけない、という使命をもっていることに気が付いた。
我々が2年前に描いていたビジョン(写真)


このビジョンは、現代集落/真浦が、30年後にどのようになっていたら持続可能な循環的な集落になっているか、を描いた絵である。
エネルギーはマイクログリッド、食は自給、交通は域内簡易移動車など、様々なビジョンが詰め込まれている。
少しずつ少しずつ我々は実験を行っていた。


▶︎▶︎ しなやかに、レジリエンスの高い集落へ

今回の地震で、まずはエネルギーインフラだけでもマイクログリッドを実現することが、真浦集落そして奥能登全域の復興のためになるということに気がついた。

孤立前提の集落を、何十億とかけて配管するのか?もしまた地震があったら、土砂崩れがあったら、どうするのか?
それよりも、各集落毎にマイクログリッドにし、しなやかに、レジリエンスの高い地域にしていく必要がある。
我々が早期に集落のマイクログリッド化をすることで、奥能登全域の集落に横展開し、以前よりも魅力的な、世界で初のマイクログリッド集落が密集した先進地域になる。


▶︎▶︎ 最後に

震災があり、多くのものを失い、今も暗闇の中を走っているような感覚の人がとても多い。
・元のような自然豊かで自然と共に生きていた能登の暮らしを取り戻せるのか?
・取り戻せても、人がだれもいなくなるのではないか?
・もしかしたら更地やゴーストタウン化してしまうのではないか?
・そもそも人が少ない地域だったのに、どうしたら地域が持続していくのか?
不安が尽きない。。。

だからこそ、我々が奥能登の今後の在り方と求心力の作り方を実践し、提示することが必要不可欠だと考えている。

大きな分岐点となった今回の地震。これを10年後30年後に、「よかったね」、と言えるのか、「何もかもなくなってしまった」と言うのかは、これからの我々の動き次第だと思う。

我々の子どもの世代、孫の世代に、地域をつなげられるように、まずはこの真浦から変化のきっかけをつくっていきたい。

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